種と土

蒔いた種が根付く前に湿りすぎて土の中で腐ってしまうくらいに、今年の9月はずっと雨だった。

わたしは土を耕すのも、種を撒くのもやめて、ただただ自然が自然のままに過ぎていくその真ん中に居ようにした。

それは波に、自分の揺れと呼吸を合わせてプカプカと体の半分は水の中、半分は大気に触れて、浮かんでいた感じだった。


今日は雨だから、今日という日をはなかったことにした。

という風にダラダラと寝転がってスマホをいじり、本を読み、寝落ちする私。

誰に何を言われようと、言われないとしても、かすかに影響されはするけれども、変わらなかった


常に脈を打ち呼吸をし、考え、夢をみて、汗をかき水を飲む。

動きっぱなしの体の中を抑制させるのは、裏ずけも何もないけれど、

理屈は分からないけれど、どうしても何もしないことが必要な気がする、

という言葉にならない気持ちだった。


そういうときには、直感のようなものがよく働いて、

”いい感じ” と ”いやな感じ” っていうのがぼんやり雰囲気が見えてくる

ピンとこないなと感じたら、一歩も動かなくなってしまう。


この4月から9月までに、10種類以上の野菜やハーブの種をまいた。そのうち、うまく根付いてくれたのはトマトとタイムだった。

それ以外の植物は見失ったり、途中で枯れてしまったりした。

さっさっさっと土に混ぜてばら撒いたハーブの種たちは、風に吹き飛ばされてしまったもの

雑草が生い茂るスピードを知らなかったために埋もれてしまったのも

水が通り抜けない容器に植えて、雨の次の日に見たら水浸しになってたのも

何よりもあれもこれも手を出して、手に負えなくなって、たくさんのごめんなさいをしてしまうの。


なんとか、トマトは教えてもらった、支柱とわき芽を取るのもやって、

大家さんが肥料を分けてくれたおかげでぐんぐん伸びてたくさん実って、最後の方はアリにたくさんあげた。

タイムはなんでか増えてて、ぎゅうぎゅうになってるのを間引きしてたら、また元気になって。

今年はたくさんの植物の種を芽吹かせてあげれなかったけれど、

来年はあれとこれとそれを植えましょうと自分のペースでできそうで、楽しみで、嬉しい。ありがとうをした。


一本の糸がこんがらがって、それを緩めて解いて、

何かがこびりついていて

手を止めて、それをぬぐって。

そんな風にまだまだ、私はまっすぐではないけれど

ひたすら日常と向き合って

人と自然と交流して

自分の大事なものを守ることを

傷ついたり、嬉しくなったり、悲しくなったり、怒ったり、しながら

楽しくてどうしようもない自分になっていく。

大事にしたいものをちゃんと大事にできる自分になる

理屈は分からないけど、希望は持っている。そうゆう直感がピンとはる。



カクメイ製作所

自己満足な心の高ぶり その境地に達したとき "カクメイ"が起きたと人は言う

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