感覚に入る瞬間

感覚に入る瞬間

パスタを沸騰した鍋に入れしばらくすると

少しの芯を残して

ちょうどよく水分が含まれてぷっくりと茹で上がった

黄色くうっすら透き通ったキラんとするとき

私の心がうっすらとまわるく

一周軽くなる


どこにでもある

誰もが一度はそこに出くわしているだろうこと

ただのこの出来事を

言語化して

誰かと共有はしてこなかったけれど


なんどもパスタを茹でて

なんどもちょうどいい茹で加減を探して

じっとパスタを見つめて

やっとわかった

この瞬間を見つけたとき


私だけの宝物のような

なんとも言えない

ぐっと奥歯を噛み締めて

頭の両はじがキュッとなる

そんな感覚に入る瞬間を

私は日常にたくさん抱えている


上を見ましょうどんどん進みましょうとなんだか

誰に言われたんだかわからないけれど

なんとなくその方が良いような気がして

上ばかり見ようとしていたら

首やからだやこころのあちこちが痛くなって

立ち止まって下を向く


ふと目に止まった

道端に落ちている誰のでもないただそこにある石が

自然としゃがんで思わず拾った石が

とても綺麗だった

カクメイ製作所

自己満足な心の高ぶり その境地に達したとき "カクメイ"が起きたと人は言う

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